当社では管理している物件の「入居率」の他に、「稼働率」という指標を大切にしています。
「稼働率」とは1年間にどれだけ賃貸アパートが家賃収入を得られたかを示します。
例えば、1年間で1日も空室が出なかった場合の稼働率は100%になり、10世帯のアパートで1部屋が1年間ずっと空室だった場合の稼働率は90%になります。
賃貸管理会社として最低限の仕事は、空室を埋めて満室経営を提供すること。
そのためには空室損失を抑え、稼働率を上げていくことが重要です。そして、最終的にオーナー様の1年間の収益がどのくらい出たのかを確認するためには、キャッシュフロー表で確認する必要があります。
当社ではお任せいただいている全賃貸物件のキャッシュフロー表を作成し、日々オーナーサポート課で経営状態を注視しています。
ここでは当社の過去の事例も交えて、賃貸経営におけるキャッシュフローの考え方について説明致します。
事例1
以下のキャッシュフローツリーはほとんどの項目において、目標値を達成している理想的な経営状態にあります。税引前のキャッシュフローが目標より約5%以上も取れているので、オーナーの経営は多少余裕があります。


事例2
2つ目のキャッシュフローツリーは空室損失が大きいオーナーです。
損失が18.9%もあり、その影響が他の数値にも及んでいるパターンです。税引前のキャッシュフローが35万円しかない、苦しい経営状態です。

このような物件の場合、やることは空室を改善し、早急に家賃収入を上げることです。
ただ空室を埋めるための修繕費の捻出が厳しい状態にあるかもしれませんので、リフォームローンの活用などを検討する必要がありそうです。
事例3
次のキャッシュフローツリーは、ローン返済が経営を圧迫している状態のものです。

上から営業純利益までは目標値を達成しているものの、ローンの返済額がGPIの75%以上あり、苦しい経営状態です。原因は、
①当初の建築費が高額だった。
②家賃の下落が建築当初より大きく進んで、GPIそのものが下がっている。
③金利が高い。
④もしくは返済期間をあえて短く設定している。
などが考えられます。
金利の値下げや返済期間の延長を銀行と交渉することで、返済額を抑えることも可能です。しかし、「①当初の建築費が高額」というのはどうしようもない部分です。そのような場合は、少しでも家賃を上げるリノベーションをするか、他に物件を買い足して、総潜在収入そのものを上げていくしかありません。また遊休地を売却して、ローンの繰り上げ返済を行うなども手立てとして検討できます。
築25年くらいの物件でこのようなキャッシュフローツリーになる傾向が非常に多いです。
事例4
4つ目のパターンは、ローン返済が終わっているものです。30年間という長期にわたって収めていたローンをやっと完済し、家賃収入を自分のために使えるようになった状態と言えるかもしれません。しかしながらこのようなオーナーからよくお聞かせいただくのは、税金や医療費が高くなって困っているというご相談です。
築30年頃となると、経費にできる減価償却や支払利息もないため、不動産の所得が増え、結果的に所得税も増えるという仕組みになっています。

このような場合、最初に取り掛かっていただきたいのは所得税の申告を白色から青色申告に変えることです。たまにオーナーの確定申告で白色のままの方をお見掛けすることがありますが、すぐに青色に変えてください!
青色申告では課税所得から65万円の青色申告特別控除を受けられたり、家族に支払った給与を経費として認める専従者給与控除などがあります。もしご自身の申告がどっちか分からないという方はすぐにご相談ください。
その他にも所得税対策として、
①賃貸経営を法人化する。
②ローンの終わった建物を家族に贈与する。
③新たにアパートを建築し、減価償却を生み出す。
などがあります。
ここでは4つのパターンのキャッシュフローツリーをご説明致しましたが、賃貸経営は築年数ごとに経営状態が変わっていきます。
しかし、キャッシュフローツリーを作成することで問題点が鮮明になり、それに対する改善策も見えてきます。様々な対策の中から、オーナーにとってどの対策が最適なのかは、やはり一緒に相談して決めなければなりません。
大切な資産をお任せいただいているオーナー様のためにも「収益最大化」という形でご期待に応えることを当社では大切にしております。