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賃貸経営コラム

老朽化建物の倒壊による入居者の死傷とオーナーの責任について

今回は建物老朽化に対して、発生しうる事案と、実際の判例をご紹介いたします。
近年、異常気象も多く老朽化の建物が被害にあうケースも少なくありません。
そのような時、どのような事が起こる可能性があるのか、ぜひご参考にしてみて下さい。

◆ 今回ご回答いただいた先生
弁護士法人 一新総合法律事務所
弁護士 大橋 良二 氏


事例

【回答】
こちら時々いただくご相談ですが、結論としては、建物があるべき性能を有していなかった場合や、必要な補修を行っていない場合には、責任を負う可能性があります。
民法には[工作物責任]といって、建物の設置又は保存に瑕疵があり、それによって生じた損害を賠償する責任を負う、という規定があります。

◆民法717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
(以下略)


裁判例

この規定に基づき、責任を負った裁判例があります。神戸地裁の平成11年9月20日判決です。

阪神・淡路大震災により賃貸マンションの一階部分が倒壊して賃借人4名が死亡しました。
賃借人の遺族が賃貸人・所有者に対して上記の工作物責任に基づく損害賠償を請求、遺族からの損害賠償請求額は総額3億円を超えました。

あれだけの被害が生じた阪神淡路大震災ですから、「やむをえない」「責任はない」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、こちらの裁判例では結論としてオーナーの責任を一部認めました。
(仲介した不動産会社への請求は認めませんでした。)

こちらは旧耐震基準の建物でしたが、その当時の基準に考えても建物が通常有すべき安全性を有していなかったとして、賃貸人の工作物責任を認めたのです。そして賠償額については、大規模な地震が原因となっていることを考慮し、賠償額を5割減額して1億3,000万円の賠償責任を認めました。
こちらのオーナーは築16年目の本物件を取得して賃貸物件としていたところ、築31年目で阪神・淡路大震災が起こり、建築当時の欠陥により1億3,000万円もの賠償責任を負うことになったのです。


まとめ

このように、建物がその通常有すべき安全性を有しない、と判断される場合には、所有者・賃貸人は、物件が地震で倒壊する等の事故が起こった場合にその責任を負う可能性があります。
予想もできない大地震であったというだけでは免責されるものなく、貸主には、入居者に対する重い責任を負うものであることを知っておきましょう。


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