認知症になってからではもう遅い!賃貸オーナーの認知症対策
不動産は大切な資産です。
今回は、賃貸オーナーが大切な資産を守るために、早めに行うべき対策をご案内します。
認知症とは
「認知症」とは、さまざまな脳疾患によって脳の神経細胞の機能が徐々に低下し、その結果、記憶や判断力といった認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態を指します。
日本では高齢化が進むに伴い、認知症の患者数も増加しています。平成24年度(2012年度)時点で65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症であるとされており、年齢を重ねるにつれて発症率も上昇することから、今後も認知症患者は増加する見込みです。
さらに、65歳未満で発症する認知症は「若年性認知症」と呼ばれています。 現在、認知症は誰にでも起こりうる病気と認識されています。
認知症になってしまった際に起こりえる事象
年齢を重ねると誰でも、すぐに思い出したいことを思い出せなかったり、新しい情報を覚えるのが難しくなったりしますが、「認知症」はこのような「加齢による物忘れ」とは異なります。
認知症の中で70%を占める「アルツハイマー型認知症」では、記憶障害(もの忘れ)から始まることが多いですが、失語や、失認、失行などが目立つこともあります。
失語:音として聞こえていても話がわかりにくい、物の名前がわかないなど
失認:視力は問題ないのに、目で見えた情報を形として把握し難い
失行:手足の動きは問題ないのに、今までできていた動作を行えない
賃貸オーナーが認知症になってしまった場合、どのような事が起こりえるのでしょうか
① 認知症が進行し意思能力がなくなってしまう
意思能力が欠如した状態では、ご自身の意思での契約締結(売買やリフォーム等)ができなくなってしまいます。
正確な判断が困難になり、ご家族が代わりに行うとしても、家庭裁判所へ申し立てを行い成年後見人として選任される必要があります。
② 元々希望していた相手に相続・承継できない場合がある
認知症発症後では、所有している不動産が誰に相続されるか、誰が後見人となるかについて融通がきかない場合があります。また、成年後見制度で弁護士等の専門家が選任された場合には報酬がかかります。
ひと言でいえば、認知症が進んでからでは対策が限られてしまい、賃貸経営に影響が出るだけでなく、資産にも影響がでてきてしまいます。
今からしておくべき対策例
① 生前贈与
希望する相手に生前に贈与する方法です。これにより、賃貸物件は贈与を受けた方の所有となります。
【メリット】
贈与する相手を自由に選ぶことができます。法定相続人にはあたらない人へ不動産を渡したいケースではとても有効です。
【注意すべきポイント】
贈与税の問題や、贈与した後にご親族の態度が変わるトラブル(忘恩行為などといいます)もあり、慎重に検討する必要があります。
また、令和6年からは生前贈与における贈与税の加算期間が7年に延長されました。
詳しくはこちらをご覧ください:令和6年は贈与税の制度が変わる年です
② 任意後見契約
こちらは認知症などに備えて、自らが選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを任意後見契約で決めておく制度です。
【メリット】
成年後見制度を利用する場合と異なり、誰に、どの範囲で財産管理をしてもらうのか、を自ら選ぶことができます。
【注意すべきポイント】
成年後見と同様に、専門職が監督(任意後見監督人)したり、その専門職への報酬がかかるといった点は考慮が必要です。
③ 家族信託(民事信託)
成年後見と同様に、専門職が監督(任意後見監督人)したり、その専門職への報酬がかかるといった点は考慮が必要です。
【メリット】
財産を委託する人を選択し、また、財産から生じた収益はいままでどおりに取得する等の柔軟な設計ができます。
①判断能力が低下しても財産が凍結せず、家族で財産管理を継続できる
判断能力が低下すると、自分で預貯金や不動産の管理、処分を行うことが難しくなります。元気なうちに家族信託を始めておけば、財産の凍結を防ぐことができます。また、裁判所や専門家(弁護士・司法書士など)ではなく、家族が財産管理を行うことができます。
②成年後見制度に比べて、柔軟な財産管理・活用ができる
成年後見制度では実際に自分の判断能力が低下した状態になるまでは財産管理の委任をスタートさせることができません。その点において、家族信託を利用すればいつでも財産管理を任せる状況をスタートさせることができ、財産の管理処分については信託契約であらかじめ定めておくことができますので、柔軟な資産運用にも対応することが可能となります。
③遺言よりも柔軟な財産承継ができる
遺言により、自分の財産を誰に相続させるかを決めることができますが、遺言では「ひとつ先」の承継先までしか決めることはできません。しかし、家族信託では「先の先」の承継先まで決めることができます。
【注意すべきポイント】
家族信託は、財産を預ける人(委託者)と財産を管理する人(受託者)との間で信頼関係が構築されていることが欠かせません。
また、家族信託制度の趣旨は財産管理にあります。そのため、たとえ家族信託を利用しているといっても、受託者の立場から、介護施設の契約や介護サービスの利用、病院手続等の生活環境を整えること、また、役所への届け出や申請行為など、身上監護の分野をカバーできるわけではありません。
まずは賃貸オーナーご自身が認知症にならないように予防をすること。同時に、もしもの備えとして対策を取ることも重要です。大切な家族のためにも、制度を理解して早めの対策をすることが資産保護につながります。
フレンドホームでは、不動産・賃貸物件の相続対策についてもプロの目線で無料相談をお受けしています。
現状に対し、どのような対策が向いているか気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
1988年に創業以来、久喜、幸手、杉戸エリアを中心にこの地元を愛し、地元密着で営業をさせていただいております。不動産は皆さまの大切な資産です。代々受け継がれてきた土地や建物、またこれから購入する住宅など、不動産の一つ一つにあるお客様のストーリーを私たちも大切にし、お客様にとって最適なご提案ができるよう日々勉強しております。どうぞお気軽にご相談ください。