建物の老朽化と入居者の高齢化 ~2024年マンション法改正~
マンション法・区分所有法と呼ばれる「建物の区分所有等に関する法律」が2024年に改正される予定です。
主に分譲マンションに関するものですが、不動産分野での主要な法改正の一つですので、現時点で予定されている内容を確認していきましょう。
◆ 今回ご回答いただいた先生
弁護士法人 一新総合法律事務所
弁護士 大橋 良二 氏
マンション法改正の背景事情
法改正の背景としては、以下の2点が挙げられます。
1.老朽化マンションの増加
国土交通省の調査によると、令和3年現在、築40年超のマンションは116万戸であるところ、20年後には425万戸へ増加すると予想されています。今後、⽼朽化したマンション(区分所有建物)が急増していく⾒込みで、老朽化マンションへの対策は喫緊の課題といえます。
2.区分所有者の⾼齢化
建物が老朽化するだけではなく、入居者も高齢化や相続により所有者が不明になったり、所有者が物件に住んでいない、といったことが多くなると想定されます。
参照:令和4年10月法務省民事局資料より
所有者不明の場合、なぜ困るのか?
区分マンションの所有者が不明の場合には、決議に必要な賛成を得ることが難しくなってしまうという問題があります。
たとえば、マンションを建て替えることが必要な場合には〈議決権の5分の4の賛成による議決〉が必要なのですが、所有者が不明の場合にはこの議決が難しくなってしまいます。
所有者が不明の場合には賛成票を投じられないためです。
改正法では、建物に客観的な問題がある場合(たとえば、耐震性や耐火性に問題がある等)には、建替え決議の要件を緩和する等の方向で検討されています。
・所在等不明者を決議の母数から除く
・マンション建替え決議 「5分の4」の賛成 → 「4分の3」の賛成等
これは行方不明者を除き、決議要件を緩和することで決議しやすくする為です。
まとめ
このようにして、老朽化建物の入居者高齢化による建替え等の問題について、より建替えがしやすい方向で法改正が行われます。
老朽化物件や入居者の高齢化への対策として、マンションに関する法改正が行われることは確認しておきましょう。
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